新制度施行は2024年度を予定
国土交通省は3日、建築物の販売や賃貸時における省エネ性能の新しい表示に関するルールについて、検討会を経たとりまとめ結果を公開した。今後はこれに基づき、表示ルールを規定する告示やガイドラインなどの作成を検討するほか、スムーズな制度施行に向けた環境整備などを推進していくとする。現時点で、新制度の施行は2024年度になる予定だ。2022年6月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)が改正され、建築物の省エネ性能表示制度が強化されて、より分かりやすく、詳細に情報提供することが求められるものとなった。
これを受けて国土交通省では、同年11月より「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を設置し、新ルールに係る議論を重ねてきていた。
今回のとりまとめは、2月10日に開催された第3回検討会までの議論を踏まえたもので、表示ルールに関する基本的事項がまとめられている。
国指定のラベルで多角的かつ多段階で性能を表示
まず、建築物の販売や賃貸時における省エネ性能の表示については、「告示」と「ガイドライン」で定めるものとする。このうち「告示」では、建築物の販売や賃貸に係るさまざまな性能表示の場面で共通的に必要な内容を定めて示す。
一方「ガイドライン」では、建築物の省エネ性能表示の普及拡大の観点から、消費者らに追加的に提供すべき情報内容などについて示し、望ましいあり方を明らかにする。
告示で定める事項に関しては、消費者が物件選択時に参考とできるよう、「省エネ性能を多段階で評価した結果」を、評価時点がいつであるかとあわせて表示すべきとする。
住宅については、一次エネルギー消費量の性能を、省エネ基準から0~30%削減まで段階的に表示、ただし再エネ利用設備をつけている場合は、最大50%削減まで表示可能とし、再エネによる削減効果を加味した性能を区別した状態で表示するよう求める。また、外皮性能として、断熱などの性能等級を住宅品確法に基づき等級1~7の段階で示すようにする。
非住宅建築物については、一次エネルギー消費量の性能を、0~50%削減まで、住宅と同様に段階的な表示で示させる。
表示は国が様式を定めるラベルで行うものとし、そのラベルは販売・賃貸時の広告に掲載できる。広告掲出を行わない場合、ホームページや建築物に関する調査報告書などに掲載することとなる。
ラベルで求められた事項以外に、太陽光発電などの再エネ利用設備についてや、第三者評価(BELS)を受けている場合はそのことを記したり、住宅の目安光熱費を示したりすることも認める。
ただしこれらについて当初表示を行った後、評価が低下する仕様などの変更が生じた場合は、変更後の仕様に基づく表示に変更して示さなければならない。なお、既存建築物についてはこの限りでなく、代替表示の内容をガイドラインで示すとされた。
ガイドラインでは、消費者などへの情報提供として、一次エネルギー消費量や外皮性能に関する性能値、建築物省エネ法の各基準への適否、ZEBやZEHに関する情報を定め、一覧で確認できるような評価書のひな形も示すべきとした。
建築時に省エネ性能の評価を受けていない既存建築物についても、その特性を踏まえた表示ができるようにすることを推奨する。詳細内容については、国土交通省と経済産業省が連携し、2023年度中を目途に策定、ガイドラインへと反映させていく予定としている。
円滑な施行を叶えるため、広告などでの業界規約やガイドラインなどとの整合性を確保していくこと、表示に係る実務において角関係主体が担う役割の明確化を進めていくこと、十分な準備期間を確保すること、中小事業者も含めた幅広い関係者が対応できるよう、具体的な手順の提示や設計者らへの周知を進めること、消費者などにも周知を促進し広告主体が協力しやすい環境を整えることといった留意事項も示された。
国土交通省 プレスリリース
https://www.mlit.go.jp/report/press/001589955.pdf