若者たちに持ち家を買う余裕なし
国土交通省は7月2日、平成24年度の「国土交通白書」を公表した。今年の白書では、第Ⅰ部を「若者の暮らしと国土交通行政」とし、若者にスポットを当てた報告となっている。白書では、昔ながらの「就職→結婚→持ち家」といった「標準的な」ライフコースが希薄になっており、暮らしの多様化や経済的な不安から、若者の持ち家取得数が低下していると指摘。
その背景には、進学率が高まるものの、失業率や非正規雇用割合が上昇するなどの不安定な雇用環境がある。このため、経済的な不安から結婚、出産・子育てに踏み出せず、一人暮らしや夫婦のみで暮らす若者が増えている。
また、郊外の一戸建てよりも、利便性の高い都市部の分譲マンションや賃貸住宅で暮らす若者も増加している。

若者の持ち家率、1988年から急下降
住宅動向では40代以下の持ち家率が減少傾向にある。特に30代の持ち家率は1983年で53.3%だったが、1988年から急下降が始まり、2008年には39.0%にまで低下した。30代の所得に占める住宅ローンの、負担割合が高いことが大きな要因になっている。政府では今後の社会を担っていく「若者」の暮らしの質の向上が、我が国の形を大きく左右するとの考えから、若者が豊かな暮らしを送れるよう支えていく必要があると考えている。
具体的な取り組みとしては、若者への持ち家取得支援や良質な民間賃貸住宅の供給のほか、子育てをしやすい環境の整備などをあげている。
また、若者の生活圏の範囲が以前と比べて狭くなっているため、今後、都市機能の集約化などコンパクトシティの形成が必要としている。
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24