土壁の良さ、もっと知ってほしい
土壁建築の魅力をアピールするための公開講座が9月30日、京都市にある「西陣ヒコバエノ家」で開かれ、市民や左官技能者ら約40人が参加した。関西木造住文化研究会(KARTH)は、木造建築の伝統文化を伝えつつ、安全性を確保した住まいと街づくりの実現を目指して連続講座を実施している。
この日は京都左官協同組合と共催で「土壁の優れた耐震性の公的評価を得るために」をテーマにした講演会を開き、早稲田大の輿石直幸教授らが講演をおこなった。

京都の土壁は、高い耐力が実験で確認されているものの、建築基準法の告示仕様に適合していないため、法令上の評価は低く、一般に普及しなくなった。土壁の優れた耐震・耐久性が公的に評価されるための、具体策を学んだ。
日本建築総合試験所の完山利行氏は、土壁の耐震性を表現するために、材料や施工基準の明文化が必要であると提案。伝統の技術を数値などで客観的に表現する必要性を訴えた。

快適で安全な暮らしを提供する木造建築
「西陣ヒコバエノ家」は、衰退しつつある木造伝統住文化の未来的な価値と意義を再創出し、耐震性・防火性などの安全面、快適な居住性、地球環境や歴史的街並みの保全など、総合的な観点から江戸時代の木造住宅を改修した町家だ。家族3世代が、今後、地震や火災時だけでなく、日々の暮らしの中でも地球環境に負荷をかけず、健康で安心して心豊かに暮らし続けられる安らぎのある住まいに再生する手法(「西陣蘖(ヒコバエ)ノ家」より引用)
を提案しつつ、木造建築の有効性をさまざまな視点から科学的に検証し、実際に住まいとして利用しながら居住性を実験するという画期的な試みを行なっている。
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西陣蘖(ヒコバエ)ノ家
http://www5c.biglobe.ne.jp/hikobaenoie.pdf