東日本大震災でローンに苦しむ人のための制度
東日本大震災で自宅を失った被災者の、住宅ローンなどを減免する「個人版私的整理ガイドライン」の利用者が、受付開始から1年余り経つにもかかわらず、わずか71名にとどまっている。東日本大震災で、倒壊や津波による被害を受けた住居は約20万戸を数えるが、このうち約8000戸が住宅ローンの返済を完了していなかったとみられる。
このため、家を再建する際に二重ローンなどで苦しむことのないように、「個人版私的整理ガイドライン」が設けられた。
これは、一定の財産を残したまま、自己破産せずにローンの免除が適用される制度だ。
個人資産を残しながらローンを整理できる
「個人版私的整理ガイドライン」を利用するメリットは、主に3つ。1つ目は、破産手続き(法的整理)とは違い、個人信用情報の登録などの不利益を回避できること。2つ目は、国が補助するので、手続きに関する弁護士費用がかからないこと。最後に、手元に残せる現預金の上限が500万円を目安に拡張されることだ。
従って今までのローンを、ある程度の預金を残したまま帳消しにすることができ、その後も自己破産のケースのようにブラックリストに記載されて、今後ローンを組めないなど信用力が低下することもない。しかも、手続のための弁護士料は不要だ。
当初の見込み数よりもはるかに少ない利用状況の原因には、制度の周知不足や金融機関の消極的な姿勢にあると指摘されている。
個人の借金を任意の手続きで棒引きにするというのは、世界初の制度(「時事ドットコム」より引用)
と、私的整理ガイドラインの高木新二郎運営委理事長は説明しており、この画期的な制度を利用しないのはもったいない。
個人版私的整理ガイドライン運営委員会は、「個人版私的整理ガイドライン」の存在を知らずに、被災者が二重ローンなどで苦しむようなことのないよう、今後さらなる周知徹底を急務としている。一般社団法人 個人版私的整理ガイドライン運営委員会
http://www.kgl.or.jp/
時事ドットコム
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012091500222