都のマンション1万3000棟が耐震基準満たさず
東京都が都内の全マンションを対象に、初の耐震化調査を実施した結果、ほとんどのマンションが耐震診断を受けていないことがわかった。調査は昨年度、3階建て以上の分譲マンション5万2600棟、賃貸マンション8万棟の計13万2600棟を対象に、耐震診断の実施の有無や建て替え・改修予定などを尋ねる文書を郵送しておこなった。

東京都には、1981年以前の旧耐震基準で建てられたマンションが2万4400棟あり、回答したうちの89%が耐震診断を受けていなかった。
診断を受けたマンションでも約6割が補強が必要と診断されており、補強が必要であるにもかかわらず放置されているマンションは、計算上では1万3000棟となる。
都は、建て替えや改修をめぐって住民合意がまとまりにくい分譲マンションに絞って、職員と専門家でつくる「啓発隊」を2015年度までの4年間で派遣し、早急な対処を促す。

啓発隊を派遣し、耐震診断を促す
都は、震災時の緊急輸送路沿いのマンションなどについては、条例で耐震診断を義務付けているが、その他の地域については任意としている。このため、旧基準の分譲マンションを対象に、8月から啓発隊の派遣をスタートさせた。また、診断費用の助成制度の相談に応じるセミナーも開催する。東京都都市整備局は
高層マンションが倒壊した場合、住民や周辺の道路、建物を巻き込んで被害が拡大する。都から出向くことで、一棟でも多くの耐震化を促したい(「東京新聞」より引用)
と話している。

耐震基準とは
耐震基準とは、建築基準法で定められている設計基準で、一定の強さの地震が起きても倒壊・損傷しない建物の強度のこと。1968年の十勝沖地震や1978年の宮城県沖地震で、それまで安全と思われていた鉄筋コンクリート造の建物が大破・倒壊などの大きな被害をもたらしたため、1981年の法改正でこの基準が大幅に強化された。
このため、1981年以前を「旧耐震基準」、それ以後を「新耐震基準」と呼ぶ。新基準では “頻繁におこる大きさの地震(震度5強程度)では建物の構造が損害せず、滅多に起こらないが大きな地震(震度6強~7程度)に対しては、倒壊せず人命を保護する耐震性が必要”と定めている。
http://www.taishin.metro.tokyo.jp/index.html
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/