不動産投資ニュース

アパート(不動産)経営

企業の不動産ニーズ、全体にコスト削減の傾向強まる

2023/3/31 21:00

売却やオフィス移転で一層のコスト志向に
三菱地所リアルエステートサービス株式会社は3月28日、自社の顧客を対象とする不動産売買・有効活用・オフィス移転などにかかる企業不動産ニーズのアンケート調査を実施し、その結果をとりまとめて公開した。

調査は2022年12月5日~12月16日の期間、メールマガジンによるアンケート収集方式で行い、279件の有効回答を得ている。なお前回は2022年6月13日~6月24日の実施で、有効回答数は223件だった。

まず、不動産売却の検討や実施をなぜ行ったか、その理由を3つまで選択してもらった。すると「遊休不動産の処分」が23%で最も多く、「維持管理コストの削減」がこれに続く16%、3位は「既存建物の老朽化」の15%だった。

4位は「拠点の統廃合」の8%、5位が「資産のオフバランス化」と「耐震リスク・遵法性リスクの回避」の5%で、以下「有利子負債の圧縮」が4%、「環境リスク・自然災害リスクの回避」と「後継者不在」が3%、「事業の縮小・撤退」と「人員増減に伴う移転」が2%、「その他」は5%という結果になっている。

前回の調査結果に比べると、トップは「遊休不動産の処分」で代わらないが、その割合は3ポイント増加、2位の「維持管理コストの削減」は4位から順位を2つ上げ、回答率も8ポイントと倍増していた。

3位の「既存建物の老朽化」は前回2位から順位を1つ下げたが、回答率としては5ポイント増加している。不動産売却の理由として、このトップ3で全体の約6割を占める結果となり、コスト意識が高まっている様相がみられた。

なお前回2位タイであった「拠点の統廃合」は、今回4位となり、回答率も2ポイントダウン、やや落ち着きをみせた感がある。

売却理由のアウトラインをカテゴライズした構成比では、「BS/PL最適化」にあたるものが53%、「事業/拠点再編」にあたるものが30%となった。業種傾向と組み合わせて分析すると、「BS/PL最適化」は製造業や卸売業・小売業で目立ち、「事業/拠点再編」は製造業などに多かったという。

次に、不動産購入の検討や実施における理由を単一回答で選択してもらうと、「本業の収益補完」が最も多い24%になった。次いで多いのが「新事業の参入」の13%、3位は「生産能力の拡大・向上」の11%だった。

4位は「既存建物の老朽化」と「余剰資金の活用」で7%、6位に「拠点の統廃合」の5%、7位「人員増減に伴う移転」の3%で、以下「維持管理コストの削減」と「立ち退きや賃貸借契約の満了」が1%、「その他」9%という結果になっている。

前回も「本業の収益補完」が最多回答であったが、回答率は11%であったため、今回13ポイント上昇、大幅に伸びていることが確認された。2位の「新事業への参入」は、前回4位からの2ランクアップ、回答率では9ポイントの上昇になっており、こちらも顕著に増えている。

3位の「生産能力の拡大・向上」は、前回2位からワンランクダウンしたが、回答率では3ポイント上昇した。

購入理由においてもトップ3の合計が全体の約6割を占め、売却理由と同様の傾向になった。「本業の収益補完」という回答が目立つものの、新事業や生産能力アップを目的とするケースも増えており、積極的なビジネス展開が可能な環境改善が進んでいる面もあるとみられる。

購入理由のアウトラインをカテゴライズした構成比では、「新事業/収益獲得」にあたるものが54%で過半になり、「事業/拠点再編」が32%となった。業種傾向と組み合わせた分析では、「新事業/収益獲得」が建設業や卸売業・小売業に多く、「事業/拠点再編」は卸売業・小売業に目立ったとされている。

オフィス移転も効率とコスト重視
続いて、オフィスの移転検討・実施における理由を複数選択可で回答してもらった。

すると「業務効率化・生産性向上」と「コスト削減」がいずれも25%で最も多く、3位は「オフィス環境改善」の22%になった。

4位は「人員増・事業拡大」の19%、5位が「立地改善」と「集約・統合」の14%、7位に「建て替えや再開発による立ち退き」の10%、8位は「新拠点設立」と「ブランド・リクルーティング強化」の7%となった。

以下「自社ビル建て替えによる一時移転」や「契約更新の難航」、「SDGs・ESG対応強化」がいずれも5%、「BCP対応強化」が4%、「その他」5%になっている。

前回に引き続き「業務効率化・生産性向上」はトップとなったが、回答率は7ポイント低下した。一方、これに並ぶ「コスト削減」は前回3位から上昇、回答率も9ポイントアップしている。一層のコスト意識の高まりがみられるといえる。

「オフィス環境改善」は、前回2位からダウンしたが、回答率は1ポイント増と微増であまり変化していない。「人員増・事業拡大」は前回より1つ順位を上げ、回答率も5ポイント伸びた。

移転理由のアウトラインをカテゴライズした構成比では、「改善/強化」にあたるものが47%、「効率化/削減」にあたるものが38%となった。業種傾向をみると、「改善/強化」も「効率化/削減」も情報通信業やサービス業、製造業に目立ち、明確な差は認められていない。

オフィス移転時の面積動向を調査すると、「大幅な増床(20%以上)」になったのは全体の16%で、前回より1ポイント増加、「やや増床(20%未満)」は22%となり、前回より8ポイント減少した。

「変わらない」という回答は31%で、前回より3ポイント増加、「やや減床(20%未満)」が17%で、前回より2ポイント増えた。「大幅な減床(20%以上)」は14%で、こちらも前回より2ポイント増加している。

増床が38%に対し、減床が31%でやや増床優位の傾向にはあるが、前回に比べると増床の勢いは低下し、減床の動きが目立つようになっている。面積ニーズは多様化の様相をみせているようだ。

業種別では、情報通信業で「大幅な増床」が20%、「やや増床」は7%、「変わらない」が20%、「やや減床」が20%、「大幅な減床」が33%となった。大幅な増床を行っている企業もあるが、減床が優勢で大幅な減床に踏み切るケースも3分の1を占める。

製造業は「大幅な増床」が8%、「やや増床」が31%、「変わらない」は38%となり、「やや減床」が23%だった。増床優位ながら、大幅増床は少ない。

サービス業は「大幅な増床」が8%、「やや増床」が17%、「変わらない」が42%で、「やや減床」は17%、「大幅な減床」も17%となった。変わらない面積を維持するケースが多いが、増床より減床傾向が強い。

卸売業・小売業では、「大幅な増床」が27%で、「やや増床」は18%、「変わらない」が55%を占めた。減床はみられておらず、均衡から増床傾向となっている。

(画像はプレスリリースより)

外部リンク

三菱地所リアルエステートサービス株式会社 プレスリリース
https://www.mecyes.co.jp/

最新ニュース

関連ニュース

コメント

三井不動産リアルティ、住宅地・既存マンション価格の4月~6月期変動率発表 のページです。はじめての不動産投資に役立つ情報をご提供!不動産投資のすすめと不動産投資ニュースをご紹介させて頂いております。
各種法改正や投資のノウハウ、不動産投資市場の動向など最新情報を配信していくので、ぜひご活用ください。