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22年2月の東京都心5区ビル空室率、6カ月連続の4%前後水準

2022/3/13 13:30

三幸エステートが最新のオフィスマーケットデータを公開
三幸エステート株式会社は10日、2022年2月度のデータをまとめたオフィスマーケットレポート3月号の公開を開始した。東京都心5区のほか、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の全国6大都市における大規模ビルの市場動向を見ることができる。

統計が開始されたのは1994年1月1日で、ここでの東京都心5区とは、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の5つを指す。また「大規模ビル」は、1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビルと定義されている。

このほか「空室率」は貸付総面積に対する現空面積の割合で、「潜在空室率」は貸付総面積に対する募集面積の割合、「募集面積」は各統計日において公開されているテナント募集面積の合計面積を示す。

ニッセイ基礎研究所の調査によると、今後3年間の実質GDP成長率は2021年度が2.5%、2022年度も2.5%、2023年度は1.7%と予測された。直近のピークである2019年7~9月期の水準を回復するのは、2023年4~6月期になるとみられており、まだ少し先のことになるようだ。

ただし新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除を前提とし、2022年度以降もプラス成長が続くものと予想されている。

失業率については、総務省の労働力調査による2022年1月の完全失業率は前月より悪化し2.8%となった。一方、厚生労働省が発表する有効求人倍率は前月より上昇、改善傾向をみせている。しかしその先行指標である新規求人倍率は前月より低下しており、再びの悪化傾向もみられた。まん延防止等重点措置の適用・延長などから、雇用環境の改善に遅れが生じているものと考えられる。

なお長期的にみた今後の予測値では、2021年度の失業率が2.8%、2022年度で2.7%、2023年度は2.6%と予想されている。

こうした経済状況下における東京都心5区の大規模ビル空室率は、2022年2月で3.91%となった。前月に比べ0.08ポイントの低下で、わずかながら改善している。ただやはりその変動はごく小幅な動きといえ、これで6カ月連続の4%前後水準になった。

オフィスの集約移転や館内増床により空室消化が進んだものの、テレワークの浸透など出社率低下を踏まえたオフィス再編の動きで生じた解約床が現空分となり、空室率の改善は小幅にしかみられていない。

潜在空室率では、2月で7.68%となり、前月よりも0.08ポイント上昇した。増加幅はわずかだが、2カ月連続の上昇傾向で、今後も急激に空室率が改善することは考えにくいと推察される。

募集賃料も半年連続で下落
共益費を含めた東京都心5区大規模ビルの募集賃料は、2022年2月で月額坪あたり28,240円となり、前月より88円の下落になった。6カ月連続の下落を記録している。

空室率にもみられるように、依然としてオフィスニーズがコロナ前の水準まで回復していないほか、2023年には大量供給も控えていることから、早期テナント誘致を目的とした条件の見直しによる引き下げ、キャンペーン実施などの動きが続いていると報告された。

募集面積は、全体合計で649,514坪と、前月より3,432坪減少した。既存ビルの募集面積はやや増加したが、建築中ビルの募集面積が減少している。

都心5区全体での平均募集賃料は6カ月連続の下落だが、エリアによっては改善傾向もみられる。区別の募集賃料で、渋谷区が下げ止まりから上昇に向かう兆しありとなった。

渋谷区では、2020年5月の月額坪あたり32,771円をピークに低下傾向が始まり、2021年7月には月額坪あたり28,631円にまで下落した。しかし、それ以降は緩やかな上昇基調がみられており、直近では月額坪あたり29,046円となっている。

渋谷区以外の4区で、以前低下傾向となっているのに対し、同区の市況には底堅さがみられると評価されている。

渋谷区では駅周辺を中心に、2020年に在宅勤務を積極導入、オフィスの縮小や解約を進める企業が目立ったが、2021年後半からは再びオフィス拡張やエリア外からの流入も目立つようになってきた。

このエリアに集積するIT系やベンチャー企業では、事業拡大に積極的なケースが多いことに加え、再開発が進んだことで地域の魅力が高まったことが背景にあると分析された。

(画像はオフィスマーケットレポート3月号・東京都心5区大規模ビル公開資料より)

外部リンク

三幸エステート株式会社 オフィスマーケットレポート3月号 東京都心5区大規模ビル
https://www.sanko-e.co.jp/pdf/data/202203_tokyo_om.pdf

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