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住宅ローン控除縮小での不動産購入、過半が影響なしと回答

2022/3/7 20:00

野村不動産ソリューションズが住宅購入意識調査を実施
野村不動産ソリューションズ株式会社は1日、定期的に実施している「住宅購入に関する意識調査(第22回)」を行い、その結果をとりまとめて公開した。

不動産購入検討者である自社の不動産情報サイト「ノムコム」会員を対象に、2011年以降年2回のペースで行っているアンケート調査で、不動産の売り時・買い時感など最新市況と人々の意識動向を知ることができる。

今回の調査は、2022年1月24日~2月6日の期間、「ノムコム」会員を対象に、インターネット・アンケート方式で実施、2,460人から有効回答を得た。

まず、住宅ローン控除の縮小で住まいの購入検討状況に変化があったかどうかを尋ねたところ、「影響なし、関係なく引き続き探している」とした人が56.7%と過半を占めた。「縮小のため検討をいったん休止し、様子をみる」とした人は26.7%、「縮小のため検討をやめる」人は10.0%にとどまった。

「未確定だったため購入検討をいったん休止したが、検討を再開した」という人も6.6%にみられ、控除縮小の影響は限定的なものと見込まれる。

控除縮小よりも「自身のライフステージで購入のタイミングが来た」ことを重視する向きが目立ったほか、「控除の縮小幅より資産性の伸びしろの方が価値がある」とする声もあった。

今後の不動産価格は上昇とみる向きが大幅増
今後の不動産価格がどうなると思うか尋ねた結果では、「上がると思う」人が31.4%で、前回の2021年7月調査時から10.0ポイントの大幅増になった。

不動産価格の上昇を見込む向きは、2020年9月調査時点で9.4%にまで低下していたが、それ以降増加傾向を続けており、今回、ついに3割を超えた。

「横ばいで推移すると思う」人は31.6%で、前回調査より0.2ポイントの増加とほぼ同割合で、「下がると思う」人は24.1%だった。こちらは前回より0.4ポイントの微減になっている。

「分からない」とした人は12.9%で、こちらが前回調査より9.8ポイント低下、大きく減少した。市況の不透明さを感じる向きが低下している可能性がある。

不動産価格が上がると思う人の理由では、「素材などの原材料価格向上と人件費向上」を挙げる人や、「コロナ禍で在宅ワークも浸透、より良い環境で日常生活を送ろうとする人が増える」といった意見がみられた。

反対に下がると思う人の理由では、「価格が上がり続けたら需要と供給のバランスが釣り合わなくなる」という声や、「いずれ人口減少し土地価格は二極化すると思う」といったものがあり、長期的なスパンでみた時に下がる物件が出ることを指摘する傾向が強い。

売り時感高まる市況に
今として不動産は売り時だと思うか尋ねると、「売り時だと思う」人が23.9%で、前回より3.0ポイント増加、「どちらかといえば売り時だと思う」人は54.7%で、こちらも前回より5.0ポイント増加していた。

この2つを合計すると、売却検討者のうち78.6%は今が売り時だと感じている計算になり、かなり売り時感が高まっているといえる。

「どちらかといえば売り時だと思わない」人は前回より4.1ポイント減少し13.8%、「売り時だと思わない」人も3.9ポイント減少の7.6%だった。

売り時だと思う理由を複数回答可で尋ねると、「不動産価値が上がったため」が77.4%で最も多く、次いで「今なら好条件での売却が期待できるため」の52.7%がランクインした。3位は「住宅ローンが低金利で買主が購入しやすい環境のため」だが、こちらは前回より6.8ポイント低い19.4%に低下している。

以下、「購入検討者がたくさんいるため」の18.2%、「今後の不動産価格が下がると思われるため」の12.7%、「自身のライフステージからみて売却タイミングであるため」の11.2%などが続いた。

前回調査時と同様、売り時感をおぼえる主な理由としては、不動産価格の上昇があり、好条件での売却が期待できると感じている人が目立つ。

反対に、今不動産は買い時だと思うか、購入検討者に尋ねたところ、「買い時だと思う」人は前回より1.9ポイント増加し、8.7%、「どちらかといえば買い時だと思う」人は前回より6.3ポイント増加した23.7%だった。

売り時と感じる人に比べると少数だが、価格の上昇傾向が感じられる市況にあって、買い時と感じる人も伸びているという傾向が特筆点である。今後、取引が活発に進んでいく可能性もあるだろう。

「買い時だと思わない」人は49.0%、「分からない」人が18.6%だった。「分からない」の回答者が前回より21.1ポイントのマイナスと大幅に減少しており、市況の不透明感が薄れてきている可能性がここでも感じられた。

買い時だと思う理由を3つまで選んでもらったところ、「住宅ローンの金利が低水準」がトップで68.3%、これに次ぐのが「今後不動産価格が上がると思われる」の38.0%、3位は「今後住宅ローンの金利が上がると思われる」の27.4%だった。

とくに住宅ローン金利のさらなる上昇を予想し、理由として挙げる人は、前回調査に比べ15.0ポイントも増加している。2022年の税制改正で住宅ローン控除の縮小が発表され、注目を集めたこともあり、税制上の施策影響が市況意識にはある程度強く反映されたものと考えられた。

オンライン相談や見学には比較的好意的意見が多数
インターネットを活用したオンライン相談や見学についても調査が行われた。

購入検討にあたり、これらを利用したことがあるかどうか調べた結果では、「利用したことがある」人は10.5%と、まだ1割強にとどまったが、「利用したことはないが機会があれば利用したい」と興味を示す人が40.7%にのぼった。利用したことのある人と合わせると51.2%になり、半数以上が興味関心を持っている。

オンライン相談やオンライン見学を利用してみようと思ったきっかけを複数回答可で尋ねると、「気軽に相談・見学できるように感じたから」が56.9%で最も多かった。次点は「新型コロナウイルスの感染リスクを避けるため」だったが、コロナ影響を除いても、気軽さや利便性で評価されていることが分かる。

「しつこく営業されるのを避けるため」という回答も3番目に多く、こうした点でも、対面よりハードルが下がるメリットが認められる。

利用した物件種別については、「新築マンション(マンションギャラリー)」が43.2%で最も多く、次いで「新築マンション(実物)」の21.5%だった。合計した64.7%が新築マンションでの利用になる。新築マンションを中心に大手から導入が進んでいることもあってか、利用率が高かった。

以下「営業担当者と相談のみ」が13.1%、「中古マンション・戸建(空室)」の10.0%などとなっている。

使い勝手について、感想を尋ねた結果では、「良かった。これからも積極的に利用したい」が60.9%と、概ね良い評価が得られている。

ただし「参考になったが、もう一度利用するか分からない」という声も37.5%にみられる。少数ながら「参考にはならなかった。もう利用しない」という人も1.5%存在しており、リアルでの見学や対面相談と併用しつつ、今後、オンラインの問題点を洗い出し、解消していく必要があると考えられた。

(画像はプレスリリースより)

外部リンク

野村不動産ソリューションズ株式会社 プレスリリース
https://www.nomura-solutions.co.jp/20220301.pdf

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