野村総合研究所が都内会社員に調査
株式会社野村総合研究所(以下、野村総合研究所)は12月4日、東京都内の大企業に勤務する20~60代の男女会社員を対象とした「働き方と移住」に関する意識調査を実施し、その結果をとりまとめて公開した。2023年7月10日~7月18日の期間、インターネットアンケート方式で実施し、3,090人から有効回答を得ている。回答者については、都内会社員の性・年代別構成比(10歳刻み)に応じて割り付けしたという。

前回同様の調査を実施した2022年2月時点では、「毎日出社」が38.3%で、週3日以上も59.7%と6割弱であったため、出社を基本とする勤務スタイルへの回帰が進んでいることがうかがわれる。
ちなみにコロナ前の出社頻度について尋ねると、こちらは「毎日出社」が82.8%で圧倒的に多く、週3日以上の該当者は89.6%と9割近くにのぼっていたことから、これに比較すると、在宅勤務も組み合わせた柔軟な働き方がコロナ禍を機に、多少なりとも広がったことは確認された。

2位は「出社したほうがコミュニケーションを円滑に取れるため、自主的に出社を増やしたから」の28.7%、3位は「出社したほうが業務に集中できるため、自主的に出社を増やしたから」の23.7%だった。最多回答は企業側の要請によるものだったが、自ら出社にメリットを見出し、頻度をあげているケースも一定数みられている。
郊外や地方への移住意向について、全員に尋ねたところ、直近1年間に意向があるとした人は全体の15.3%、5年以内に意向ありとした人は全体の28.4%だった。
直近1年以内の意向ありは前回調査時より1.3ポイント、5年以内の意向ありは前回調査時より3.9ポイント上昇している。アフターコロナで出社頻度は増えたものの、引き続き郊外や地方への移住ニーズが高いことが判明した。
不動産の高騰もあり、都心より住宅費を抑えやすい郊外・地方への関心が高まっていることや、テレワークの浸透でより広い居住面積を確保しやすい郊外の住宅が求められるようになっていることなどが背景にあるとみられている。

移住意向者は若年層でとくに高い傾向
年代別や現在の居住形態別に郊外・地方への移住意向を分析したところ、現在は賃貸住宅に居住している25~34歳の若年層で、とくに移住意向が高く、40%を超えていた。また、郊外・地方への移住意向がある人に対し、「いつかは家を所有したい」と考えるかどうか、その価値観を尋ねたところ、「そう思う」が56%と過半になり、移住意向がない人の46%に比べ、10ポイントも高い結果になった。
現在は賃貸住まいの若年層で、将来は持家をと考えている層で、とくに郊外・地方への関心が高まっていると分かる。

以下「公共交通機関が整備されていない」が15.1%で4位、5位は僅差で「引越代や敷金などを払うための金銭的な余裕がない」の15.0%だった。「不動産を購入するための金銭的な余裕がない」は13.6%、「漠然とした不安がある」の12.2%といった回答もみられる。


転職検討理由について尋ねた結果では、「テレワークの制限により理想の働き方が実現できないため」と回答した人が移住意向ありの人では23.6%と比較的高く、移住意向なしの人の14.8%より8.8ポイント高かった。
地方における生活利便性向上や、出社頻度を抑えた働き方の実現など、環境要素が整うことで、地方・郊外移住がさらに進む可能性がある。
(画像はプレスリリースより)
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