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23年Q1の都心Aクラスビル、空室率が大きく上昇

2023/5/9 23:00

最新のオフィスレント・インデックスが発表に
三幸エステート株式会社は5月1日、株式会社ニッセイ基礎研究所と共同で開発したオフィスマーケット指標の「オフィスレント・インデックス」について、2023年第1四半期分のデータ公開を開始した。

この調査における東京都心部とは、東京都心5区にある主要オフィス街と、その周辺区のオフィス集積地域である「五反田・大崎」、「北品川・東品川」、「湯島・本郷・後楽」、「目黒区」を合わせたエリア。

また、「Aクラスビル」は延床面積1万坪以上、1フロア面積が300坪以上、築年数で15年以内の物件、「Bクラスビル」は、1フロア面積200坪以上で築年数の経過などによりAクラスに該当しないものとなったビル物件、「Cクラスビル」は1フロア面積100坪以上200坪未満のビルを指すと定義づけられている。

2023年第1四半期(1月~3月)の東京都心Aクラスビルにおける空室率は4.7%で、前期に比べ1.1ポイントの上昇、前年同期比では1.4ポイントの上昇になった。前期はやや改善傾向にあったが、再び悪化傾向となり、大きく数値が上昇している。

複数の新築ビルが空室床を残したまま竣工を迎えたことが主な原因で、オフィスニーズはコロナ前の水準を回復しつつあるものの、建築中ビルではなおテナント誘致に時間を要する状況が続いているという。

オフィス移転の前提として、リモートワークの活用など働き方の見直しを進める企業が多く、意思決定に時間がかかっているほか、昨年後半から米国大手IT企業でみられている雇用調整の動きや世界的な景気後退への懸念などから、外資系企業のオフィス移転ニーズにかつてのような勢いがなく、新築ビルの成約が進みにくくなっているともされた。

賃料については、成約賃料ベースで月額坪あたり27,479円(共益費除く)となり、前期に比べ1,115円、前年同期に比べ1,706円の下落になった。前期は6期ぶりの上昇で28,000円台となっていたが、ここに来て再びの下落となり、緩やかな低下傾向を続ける状況になっている。

Bクラスも空室率が悪化、一方Cクラスは2期連続で改善
2023年第1四半期における東京都心のBクラスビル空室率は4.9%で、前期より0.3ポイント上昇、前年同期比でも0.3ポイントの上昇になった。前期は改善傾向となっていたが、再びの悪化で5%台が近づいている。

新築ビルへ移転したテナントのまとまった二次空室が発生したほか、複数の新築ビルが空室床を抱えたまま竣工を迎え、空室率の上昇につながった。今年は今後もAクラスビルの大量供給が予定されているが、足元では二次空室募集が限定的なものにとどまっており、その需給バランスへの影響はまだ少し先、来年にかけて強まってくる可能性があるとも指摘されている。

Bクラスビルの平均賃料は、月額坪あたり17,552円で、前期より411円下落、前年同期より2,174円の下落となった。5期連続の低下で、2019年第3四半期を直近のピークに下落傾向を続けている。

東京都心Cクラスビルの空室率は4.6%で、前期に比べ0.2ポイントの低下、2期連続の改善傾向になった。オフィスの一時ニーズや拡張移転、館内増床などで現空床の消化が進み、低下を記録することができるようになっている。

2020年第1四半期に記録した0.6%というきわめて低い水準から、2022年第3四半期の5.0%まで上昇を続けてきた空室率だが、徐々に変化の兆しが出始めているとされ、今後の動向に注目が集まっている。

Cクラスビルの賃料は、月額坪あたり16,705円で、前期に比べ510円上昇した。前年同期に比べると733円の下落だが、いずれも小幅な動きで横ばい傾向を続けているといえる。

賃料の対前年変動率は全クラスがマイナス
各クラスにおける平均賃料の対前年変動率をみると、Aクラスビルが-5.8%、Bクラスビルで-11.0%、Cクラスビルは-4.2%となり、前期に続いて全てのクラスがマイナス水準になった。

Aクラス、Bクラスでは12期連続のマイナスにもなっている。ただし、AクラスとCクラスではマイナス幅が前期に比べて縮小され、2桁マイナスのBクラスも前期と同じ-11.0%と、拡大傾向は避けられた。

(画像はプレスリリースより)

外部リンク

三幸エステート株式会社 プレスリリース
https://www.sanko-e.co.jp/pdf/data/publish_2023-Q1.pdf

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