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生産緑地の2022年問題、約9割の不動産所有者が未認知

2022/1/15 23:45

あなたは知っている?市場の大きな変化が予測される「生産緑地の2022年問題」
株式会社ウェブクルーは12日、「生産緑地の2022年問題」に関するアンケート調査を実施し、その結果をとりまとめて発表した。

いよいよやってきた2022年だが、多くの人がこの問題を知らない間まであることが明らかとなっている。今後の不動産市場に大きな影響を与える可能性が高いとみられる問題であるだけに、この機会に考えておきたい。

「生産緑地の2022年問題」とは、生産緑地に指定されている土地の多くが、その制度の指定期間解除年を迎え、該当の土地所有者が売却を図ると、市場に供給過多が発生し、地価の下落が生じると考えられるものだ。

生産緑地とは、1992年に生産緑地法で定められた、市街化区域内の良好な環境を維持すべく、緑地や農地として利用することが決められている土地のこと。指定されると宅地化ができなくなり、所有者には営農が義務付けられる。一方で、固定資産税や相続税の納税猶予が与えられるといった税制面の優遇措置が受けられるようにもなっている。

この制度の指定期間が30年であり、30年を経過すると、税制メリットはなくなるが、あわせて宅地への転用が可能になる。つまり1992年の制度開始時に指定された生産緑地が、2022年に解除年を迎え、宅地化が可能になるというわけだ。

生産緑地の8割がこれに該当し、指定解除になるとも言われており、都市圏の農地や山林所有者が一斉に住宅用地として売却を始めると、地価の暴落が起きかねない。

今回のウェブクルーによるアンケートは、2021年11月23日~11月29日の期間、同社が提供する「ズバット不動産売却」や「保険スクエアbang!自動車保険」、「ズバット車買取比較」、「ズバット引越し比較」の過去利用者を対象に実施された。

有効回答数は1,079件、平均年齢は54.7歳で、男女比は男性が860人、女性194人、無回答19人となっている。

まず、全員に自身もしくは自身の世帯で不動産を所有しているかどうか尋ねたところ、「所有している」人が76.0%、816人を占めた。

続いて、この不動産所有者である816人を対象に、生産緑地の2022年問題について知っているかどうか尋ねると、「はい(知っている)」とした人はわずか10.2%で、「いいえ(知らない)」と回答した人が75.0%にのぼった。

「聞いたことはあるが、内容は分からない」という人も14.8%にみられ、知らなかった人と合わせると約9割の人が問題を認知していない。

生産緑地所有者で売却意向ありは約4割
所有している不動産のうち、「生産緑地の2022年問題」の対象となる土地があるかどうかを尋ねた問いでは、「所有している」としたのは4.5%、「所有していない」人が68.4%で、残る27.1%の人は「分からない」と回答した。

約3割の人は、自分の所有する土地が生産緑地がどうかも分からない状況で、ここからも問題の認知が広がっていないことが分かる。ちなみに、生産緑地として回答者に所有されている土地の都道府県は、東京都、埼玉県、大阪府が上位だった。

生産緑地を所有している人に、2022年以降どうする予定かを尋ねたところ、「すでに売却を決めている」人が5.4%、また「売却したいが時期は未定」の人が35.1%で、合計40.5%、4割強の人は売却意向を示していた。

それ以外では「貸し農園など活用を考えている」人が29.7%で最も多く、次いで「現状のまま所有し続ける」人が27.0%、「10年の延長申請をする予定(もしくは申請した)」人は2.7%となっている。

今後の対応について、まだ悩んでいる人が多く、とりあえずはしばらく所有を続ける、活用を考えるというケースも少なくない。だが延長申請を考える人はわずか3%未満にとどまっており、市場への影響は一定程度生じる可能性が高いとも考えられた。

生産緑地ではない不動産を所持している人に、この問題を踏まえて2022年以降、どのように対処していく考えか、具体的に尋ねると、「とくに何もせず所有し続ける」という人が64.5%で最多となった。

次いで多いのは「時期は未定だが売却予定がある」の13.8%で、3位は「活用を考えている」の9.9%、「土地の供給量が増えて価格が下がる前に売却したい」人は7.4%となっている。

自らが所有している不動産が生産緑地に該当しない場合であっても、周辺の該当地として広い農地や山林が売りに出され、周辺エリアの地価が下落すれば、資産性が低下し、影響を受けることとなる。

「生産緑地の2022年問題」について正しく理解し、市況動向を注視するようにしたい。

(画像はプレスリリースより)

外部リンク

株式会社ウェブクルーによるプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000336.000002830.html

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