日本不動産市場に明るいきざし
不動調査・コンサルタントなどを手がけるCBRE(シービーアールイー)は、7月19日、2012年第2四半期の賃貸物流施設の市場動向を発表した。
首都圏の大型物流施設動向
まずは首都圏に関して、需給が逼迫(ひっぱく)しており、空室率は3.6%と0.9ポイント改善。4期連続の下落となった。2012年第2四半期の新規供給は2棟で、うち片方は満室稼働しているという。既存物件の空室率も2.6%と、前期比1.7%改善。大型の優良物件に品薄感が目立ち始めたことから、賃料も上がりつつあるという。
近畿圏の大型物流施設動向
近畿圏では、2009年第2四半期以来の大型新規開発が竣工し、空室率は前期の0%から8.8%に上昇してしまった。しかし新規供給案件に引き合いは多くきているようで、空室の早期消化が期待されている。また、既存物件は引き続き100%稼働と堅調さを維持している。
用地獲得競争の動きも高まる
需要が底堅いことから、大型優良物流施設のための用地獲得競争の動きも強まっているという。特に、賃料も上昇傾向を見せ始めた東京でその動きは顕著だそうだ。

「既存のプレイヤーに加えて新規参入のプレイヤーも開発用地の取得意欲を強めている。2012年下半期供給予定物件に対するリーシングも順調で、当面は現在の逼迫した需給バランスが継続すると考えられる」
と分析している。不動産市場は景気を反映するともいえ、今回の調査結果は日本経済に明るい兆しを落とすようにみえた。
大型オフィス物件はまだ暗い見通し?
しかし楽天や米アマゾンなどネット通販市場急拡大により大型物流物件が好調な一方、大型オフィス物件には供給過剰を心配する声があがっている。供給過剰により大型オフィスの空室率が高くとどまっていることは「オフィス2012年問題」と呼ばれるそうだ。株式会社セントラル総合研究所の代表取締役社長である八木宏之氏は、同社のサイトで「満室開業は例外」と断言。
八木氏は、
「相次ぐ大型新築ビルの供給は、前向きではあるもののテナントが全て埋まり開業できるのは稀で空室率は4割近くにも上ります。」
と述べ、それゆえ満室開業となった建物があれば、ビルオーナーの関心を集めているという。一部景気の良いところもあるが、全体としてはまだまだ足取りは重い状況だというところだろうか。日本市場の動向をさぐるべく、翌期の調査結果にも、注目が集まる。
http://www.cbre.co.jp/JP/Media_Centre/Pages/Release120719.aspx