市況の見通しは近年で最も楽観的!
株式会社ニッセイ基礎研究所が、毎年実施ている不動産投資市況のアンケートの結果が10月19日発表された。アンケートは、同社が10月1日から12日にかけて、不動産分野の実務家や専門家に対し毎年行っている。今回は177名を対象(不動産・建設、金融・保険、仲介、不動産管理、不動産ファンド運用、格付、投資顧問・コンサルタントなどの業務に携わる関係者)に実施、98名(回収率55.4%)から回答があった。
不動産市場の市況感
物件売買・新規開発・ファンド組成など不動産投資市場全体の景況感に対しての回答では、「平常・普通」の回答が38.8%で最も多く、ここ数年「悪い」「やや悪い」の回答が大半であったことを考えると「景況感」が反映されている結果となった。J-REITのIPOが4年振りに再開、外資系運用会社によるファンドも増加傾向であるが、オフィス市場における空き室率の高止まり、足元の賃貸市場は依然として芳しくない。また、各投資家調査では期待利回りが横ばいから低下に変化しつつあるのが今回の回答結果に結びついたものと思われる。
中期的な変化の見通し
日本の不動産の中期的な変化としては、回答者の8割(79.8%)が「不動産の二極化」を選択した。また、東京一極集中リスクをめぐる議論に関しては、「東京一極集中の是正」を選択した回答がほとんど(1.1%)なかったことから、震災直後に懸念されていた「東京一極集中」は変わらず、国内市場における東京の優位性はゆるぎないものと思われる。優れた不動産への選好度
最後に、省エネ・省電力性及び防災性(制震・免震構造、非常用電源、帰宅困難者対策、複数の交通アクセスなど)に特に優れた不動産と、そうでない不動産に投資する場合の期待利回りに関して、プレミアムをどの程度考慮するかの質問に対しては、53.1%が「−0.3〜ー0.1%」であり、大幅なプレミアムを認識する回答は減少した。ただ現段階では、防災性・省エネ・省電力性に特に優れた不動産の流通は少なくほとんど取引事例はない。今回の回答では、若干のプレミアムは認める評価になっている。今回の回答の大半であった「−0.3〜ー0.1%」の利回りは収益段階では、+数%から10%程度の影響があると見られ、今後の取引動向が注視される。ニッセイ基礎研究所 不動産投資レポート
http://www.nli-research.co.jp/report/real_estate.pdf